さつまいもコラム

さつまいもの収穫時期と掘りどき|掘ったあとに、おいしさが決まる

収穫したての紅はるかを、つるをつけたままザルに入れて持つ農家の手

さつまいもの収穫時期は、一般に9月から11月ごろとされています。植え付けから110〜150日が目安で、葉が黄色くなってきたら掘りどきだと言われます。

ただ、この記事でお伝えしたいのは、その先の話です。

掘りたてのさつまいもは、いちばんおいしい状態ではありません。

収穫は、おいしくなる工程の入口でしかない。掘ったあとに何をするかで、味も日持ちも大きく変わります。産地では実際に、収穫後に手間をかけています。この記事では、その中身を公的な資料をもとに説明します。

結論:収穫のあとに、3つの工程があります

  • 収穫 … 9〜11月ごろ。葉の色と試し掘りで判断する
  • キュアリング … 30〜35℃の高温多湿に3〜4日置き、傷をふさぐ
  • 貯蔵・追熟 … 13〜15℃に下げて寝かせる。でん粉が糖に変わる
さつまいもは収穫のあとキュアリング・貯蔵・追熟を経て食べごろになる流れを示した図

だからさつまいものおいしい時期は、収穫期ではなく冬から春先ということになります。

まず、いつ掘るのか

収穫の判断について、一般に言われている目安をまとめます。

見るところ目安
日数植え付けから110〜150日
時期9〜11月ごろ(暖かい地域ほど早い)
葉の色緑の葉が黄色く変わってきたら
試し掘り1株掘ってみて、大きさを確かめる
霜に当てない。当たると傷みやすくなる

このあたりは家庭菜園の解説でもよく書かれていますし、私たちより詳しい方も多いと思います。

問題は、掘ったあとです。

産地では、掘ってすぐ貯蔵しません

さつまいもは、掘るときにどうしても表面に傷がつきます。その傷から菌が入り、貯蔵中に腐ってしまう。これを防ぐために行われるのがキュアリングという処理です。

農研機構は、その仕組みをこう説明しています(農研機構 生物系特定産業技術研究支援センター「輸出用サツマイモの腐敗低減技術を開発」)。

傷や表皮の下にコルク層が形成され、そこからの菌の侵入を防ぐようになるため、貯蔵中の腐敗防止を目的に行われてきた

芋自身に、かさぶたを作らせるということです。そのために必要な条件が、同じ資料に書かれています。

条件
温度30〜35℃
湿度90〜99%
期間3〜4日ほど
そのあと13〜14℃・湿度90%前後で貯蔵

ここで注目していただきたいのが、いったん30〜35℃まで上げてから、13〜14℃に下げるという順番です。

キュアリングで30〜35℃に上げてから貯蔵温度13〜15℃に下げる温度の推移を示した図

さつまいもは寒さに弱い野菜で、貯蔵の適温は13〜15℃です(この話はさつまいもの保存方法の記事に詳しく書きました)。その適温に入れる前に、いったん高温をくぐらせる。この一手間が、そのあと数ヶ月の日持ちを決めます。

なお、キュアリングの数値は資料によって少しずつ違います。33±2℃と書かれているもの、30℃と書かれているものもあります。1℃刻みの話ではなく、「30℃台の高温多湿に数日置く」という理解でよいと考えています。

やらないと、どれくらい腐るのか

「腐敗を防ぐ」と言われても、どの程度なのか気になります。実際に比較した試験がありました。

旭川市が令和3年度に行った調査です(旭川市「(参考調査)サツマイモのキュアリング処理比較調査」)。10月8日に収穫したさつまいもを4つの区に分け、12月20日時点の腐敗率を比べています。

処理腐敗率(シルクスイート)
何もしない46%
簡易処理(ハウス内で4日)18%
通常処理(30℃・湿度90%で4日)12%

何もしないと、およそ半分が腐っていました。処理をすれば12%まで下がります。掘ったあとの数日で、これだけ差がつくということです。

しかもこの調査では、糖度も上がっています。シルクスイートでは、電熱マットで加温した区がもっとも糖度が高く、次いで通常処理区でした。腐りにくくなるだけでなく、甘さにも効いているようです。

ただし、品種によって効き方が違います

同じ調査で、もうひとつ興味深い結果が出ています。ベニアズマでは、キュアリングの有無で差が出ませんでした。無処理でも腐敗率は14%と低く、資料にはこう書かれています。

‘シルクスイート’ではキュアリング処理を行うことにより、貯蔵性、糖度の向上が望める一方で、‘ベニアズマ’ではキュアリング処理による影響は判然としませんでした

正直に書いておくと、この調査に紅はるかは入っていません。試験されたのはシルクスイートとベニアズマの2品種です。ですので「紅はるかも同じ結果になる」とは言えません。ここは分かっていない、としておきます。

言えるのは、品種によって収穫後の扱い方を変える必要があるということです。資料も「品種ごとに必要性やその効果を見極めた上で実施すべき」と結んでいます。

そして、寝かせる

キュアリングが終わったら、13〜15℃に下げて貯蔵します。ここからが追熟です。

紅はるかの品種登録の資料には、こう記録されています(日本いも類研究会「さつまいも品種詳説 べにはるか」)。

貯蔵すると蒸しいもの粘質が強くなる

収穫したての紅はるかは、公式記録では肉質「やや粉」。つまりほくほく寄りです。それが貯蔵を経ることで、あのねっとりに変わります。詳しくは紅はるかの特徴の記事に書きました。

一般には「収穫後2〜3週間ほど追熟させると甘くなる」と説明されることが多いようです。私たちは、宮城・川崎町で収穫した紅はるかを、蔵王のふもとの貯蔵庫で約1〜2ヶ月寝かせてから出荷しています。

掘りたてを急いでお届けするより、いちばん甘くなった姿でお送りしたいからです。

だから「旬」は、収穫期ではありません

ここまでを並べると、こうなります。

  • 収穫期は9〜11月。でも、この時点ではまだ甘くない
  • キュアリングで傷をふさぎ、13〜15℃で寝かせる
  • 食べごろは冬から春先

野菜の「旬」は、ふつう収穫期を指します。さつまいもは、そこがずれている珍しい野菜です。売り場に並ぶのが早い時期でも、いちばんおいしいのはもう少し先、ということが起こります。

通販で買うときに収穫時期と貯蔵方法が書かれているかを見るとよい、とさつまいもの選び方の記事で書いたのは、こういう理由からです。

家庭で掘ったさつまいもは、どうすればいいか

ご家庭の菜園や芋掘りで収穫した場合も、考え方は同じです。ただし30℃台を保つ設備は普通ありませんので、できる範囲で。

  • 洗わない。土をつけたまま、風通しのよい日陰で数日乾かす
  • 冷蔵庫に入れない。低温障害を起こし、加熱しても甘くなりにくくなります
  • 新聞紙に包んで、13〜15℃くらいの涼しい場所
  • すぐ食べずに、2〜3週間置いてみる。掘りたてとの違いが分かります

先ほどの旭川市の調査では、ビニールハウス内に置いただけの簡易処理でも、腐敗率が46%から18%まで下がっていました。専用の設備がなくても、掘ってすぐしまい込まずに数日置くことには意味がありそうです。

置き場所の探し方はさつまいもの保存方法の記事にまとめています。

よくあるご質問

収穫したては、おいしくないのですか?

まずくはありません。ただ甘さは控えめで、ほくほく寄りの食感です。掘りたてならではの味わいもあるので、少し食べてみて、残りを寝かせるのが楽しいと思います。

キュアリングは家庭でもできますか?

30〜35℃・湿度90%を数日保つのは、家庭では難しいと思います。ただし簡易な処理でも効果があったという調査結果があります。掘ってすぐしまわず、風通しのよい場所で数日乾かすだけでも違うはずです。

紅はるかにもキュアリングは効きますか?

紅はるかで比較した調査を、私たちは見つけられませんでした。今回ご紹介した調査はシルクスイートとベニアズマのものです。品種によって効き方が違うという結果が出ているので、紅はるかについては分からない、というのが正直なところです。

どれくらい寝かせればいいですか?

一般には2〜3週間と言われます。私たちは約1〜2ヶ月です。ただし長ければ長いほどよいわけではありません。温度が低すぎると低温障害を起こしますし、糖化が進みすぎることもあります。

出典

2026年8月時点で、原典にあたって確認した内容です。収穫時期の目安は一般に言われている数値です。腐敗率のデータはシルクスイート・ベニアズマの試験結果であり、紅はるかのものではありません。

まとめ

  • 収穫時期は9〜11月ごろ。葉の色と試し掘りで判断する
  • ただし掘りたてが、いちばんおいしいわけではない
  • 産地ではキュアリング(30〜35℃・3〜4日)で傷をふさぐ
  • 何もしないと約半分が腐ったという調査結果がある(シルクスイート)
  • そのあと13〜15℃で寝かせると、でん粉が糖に変わる
  • だから食べごろは冬〜春先。旬と収穫期がずれている

「いつ穫れるのか」を調べて、この記事にたどり着いた方が多いと思います。答えは9〜11月です。ただ、その日から本当のおいしさが始まる——そう考えていただけたら嬉しいです。

蔵王のふもとの寒暖差で育ち、1〜2ヶ月かけて熟成させた紅はるかを、商品一覧からお選びいただけます。見た目の揃った化粧箱入りの贈答用から、ご家庭用の訳あり品までご用意しています。

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販売会社について

はじめまして。株式会社芦の口開発の小野瀬と申します。
宮城県仙台市太白区芦の口で地域コミュニティ事業としてさつまいもなどを販売する「芦の口小箱(あしばこ)」の運営と、不動産事業を営んでおります。

私たちは、宮城県川崎町の生産農家さんが大切に育てたさつまいもを、全国のお客様にお届けするため、この通販サイトを運営しています。

蔵王のふもとにある自然豊かな町で、ひとりの生産者がじっくり向き合って育てたさつまいも。鹿児島や茨城のような大産地ではないからこそ、ひとつひとつに目が届く。その良さを、もっと多くの方に知っていただきたい。そんな想いで販売のお手伝いをしています。

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